介護施設・デイサービスの口コミ対応|虐待疑惑・サービス質クレーム返信
この記事は誰のため?
この記事は、介護施設・デイサービス・訪問介護事業所の経営者で、Googleマップや口コミサイトで「虐待されている」「転倒事故を隠蔽した」「スタッフの態度が悪い」と書かれてしまった方に向けて書かれています。
介護業界の口コミは、利用者の家族が投稿することが多く、不安や不満が強く表れます。虐待疑惑は、行政調査や業務停止のリスクがあり、適切な対応が必要です。
この記事を読むことで、介護業界特有のクレームへの返信テンプレート、虐待防止法の遵守方法、事故報告の義務が分かります。
介護施設・デイサービス特有の口コミトラブル

トラブル1: 虐待疑惑
介護施設で最も深刻なトラブルが虐待疑惑です。よくあるクレームとして「父が帰宅後、体にアザがある。虐待されているのでは?」「スタッフが怒鳴っている声が聞こえた」「母が『叩かれた』と言っている」といった訴えがあります。
法的リスクは非常に重大です。高齢者虐待防止法違反に該当する可能性があります。刑法上の暴行罪や傷害罪として刑事責任を問われることもあります。介護保険法違反として指定取消や業務停止の処分を受ける恐れもあります。
トラブル2: 転倒・事故
転倒や事故に関するクレームも頻繁に発生します。「施設で転倒し、骨折した」「事故報告がなかった(隠蔽疑惑)」「再発防止策が不十分」といった不満が寄せられます。
法的リスクとして、民法709条の不法行為に基づく損害賠償請求があります。介護保険法上の事故報告義務違反として、指定取消や業務停止のリスクもあります。
トラブル3: スタッフの態度・質

スタッフの対応に関するクレームも多く見られます。「スタッフが冷たい」「利用者を放置している」「人手不足で対応が雑」といった訴えです。
原因としては、スタッフ教育不足、人手不足による業務過多、スタッフの資質の問題などが挙げられます。
トラブル4: 食事・衛生面
食事や衛生面に関するクレームもあります。「食事がまずい」「食事量が少ない」「施設が汚い(トイレ、浴室等)」といった不満です。
原因は、予算削減による食材の質低下、清掃不足、設備の老朽化などが考えられます。
トラブル5: 料金・契約トラブル
料金に関するクレームも発生します。「介護保険の自己負担以外に、高額な費用を請求された」「退所時の費用が高額」「契約内容の説明が不十分」といった訴えがあります。
法的リスクとして、介護保険法違反の不当な費用請求や、消費者契約法違反に該当する可能性があります。
公開返信テンプレート(介護施設・デイサービス用)
💡 ヒント: 軽度のクレームへの対応は軽度クレーム対応一覧をご覧ください。業種別対応の他の事例は業種別対応一覧で確認できます。スタッフ態度クレームはスタッフ態度クレーム対応、清潔感クレームは清潔感クレーム対応もご参照ください。
テンプレート1: 虐待疑惑
この度はご家族様にご不安な思いをさせてしまい、誠に申し訳ございません。
当施設では、高齢者虐待防止法に基づき、虐待防止委員会を設置し、スタッフ全員に研修を実施しております。
ご指摘の件につきまして、詳しくお話をお伺いしたく、恐れ入りますが施設までご連絡いただけますでしょうか。
今後も、ご利用者様に安心してご利用いただけるよう、サービス向上に努めてまいります。
[施設名] 施設長 〇〇
このテンプレートのポイントは、虐待を認めないことです。証拠がない段階で認めるとリスクが高まります。虐待防止の取り組みを明記し、非公開での連絡を促すことで、詳細は公開の場で話さないようにします。
テンプレート2: 転倒・事故

この度は〇〇様の転倒事故につきまして、大変ご心配をおかけしましたこと、深くお詫び申し上げます。
事故発生後、速やかにご家族様にご連絡し、医療機関への受診をご案内いたしました。
今後、再発防止策として、〇〇を実施し、安全管理を徹底してまいります。
[施設名] 施設長 〇〇
このテンプレートでは、謝罪を明確にすることが重要です。事故後の対応を明記することで「隠蔽していない」ことを示します。再発防止策を具体的に示すことで、誠実な姿勢を伝えます。
テンプレート3: スタッフの態度
この度はスタッフの対応につきまして、ご不快な思いをさせてしまい誠に申し訳ございませんでした。
ご指摘を受け、スタッフ全員に接遇マナーの研修を実施いたしました。
今後、ご利用者様とご家族様に寄り添ったサービスを提供できるよう、スタッフ一同努力してまいります。
[施設名] 施設長 〇〇
このテンプレートでは、スタッフの対応を謝罪し、改善策として研修実施を明記します。寄り添う姿勢を示すことで、家族の不安を和らげます。
テンプレート4: 食事・衛生面
この度はお食事につきまして、ご不満な点があり申し訳ございませんでした。
当施設では、管理栄養士が献立を作成し、栄養バランスに配慮しております。
ご要望につきまして、詳しくお伺いしたく、恐れ入りますが施設までご連絡いただけますでしょうか。
[施設名] 施設長 〇〇
このテンプレートでは、栄養管理の体制を明記することで、専門的な対応をしていることを示します。個別のご要望に対応する姿勢を示し、非公開での相談を促します。
絶対に書いてはいけないNG返信表現
介護業界の返信には、炎上リスクの高いNG表現があります。
NG例1: 虐待を否定する

「虐待は一切ありません。ご家族の勘違いです」という表現は避けるべきです。このリスクとして、「隠蔽している」と受け取られ、炎上します。行政調査が入るリスクも高まります。
正しい対応は「詳しくお話をお伺いしたく、ご連絡ください」と、丁寧に対応を申し出ることです。
NG例2: 利用者・家族を批判する
「ご本人様が転倒しやすい体質です。施設の責任ではありません」という表現は、「責任逃れだ」と批判され、炎上します。家族を激怒させるリスクも高いです。
正しい対応は「転倒リスクを減らすため、再発防止策を実施します」と、前向きな対応を示すことです。
NG例3: 公開の場で個人情報を話す
「〇〇様は認知症が進んでいるため、虐待されたと勘違いされています」という表現は、プライバシー侵害に該当します。個人情報保護法違反のリスクもあります。
正しい対応は「詳細につきましては、非公開でご説明させていただきます」と、個人情報を守ることです。
NG例4: 感情的に反論する
「スタッフは一生懸命やっています。批判されるのは心外です」という感情的な反論は、「家族の不安を理解していない」と批判されます。炎上リスクが高まります。
正しい対応は「ご不安な思いをさせてしまい、申し訳ございません」と、謝罪と共感の姿勢を示すことです。
高齢者虐待防止法の遵守
高齢者虐待の定義
高齢者虐待防止法では、虐待を5つの類型に分類しています。
身体的虐待は、暴行や拘束などです。心理的虐待は、暴言、無視、侮辱などです。性的虐待は、わいせつ行為などです。経済的虐待は、財産の不当な処分などです。介護・世話の放棄・放任(ネグレクト)は、食事を与えない、排泄介助をしないなどです。
虐待防止のための取り組み

必須の取り組みとして、虐待防止委員会を設置し、年4回以上開催することが求められます。虐待防止責任者を選任する必要があります。スタッフへの研修を年1回以上実施することが義務付けられています。虐待防止のための指針を作成することも必要です。
これらは2024年4月以降、介護保険法により義務化されました。
虐待を発見した場合の対応
通報義務があります。虐待を発見したスタッフは、市町村に通報する義務があります。通報しなかった場合、介護保険法違反となります。
市町村の調査として、市町村が施設に立入調査を行います。虐待が認められた場合、指導・勧告が出されます。悪質な場合、指定取消や業務停止の処分を受けることもあります。
事故報告の義務
介護保険法上の事故報告義務
報告すべき事故には、死亡事故、骨折・頭部外傷等の重大事故、行方不明、食中毒があります。
報告先は、市町村(保険者)と都道府県(指定権者)です。
報告期限は、事故発生後、速やかに行う必要があり、通常24時間以内とされています。
報告しなかった場合のリスクとして、介護保険法違反となり、指定取消や業務停止の処分を受ける可能性があります。
事故報告書の記載内容
記載すべき内容には、事故発生日時・場所、利用者の氏名・年齢、事故の内容(転倒、誤嚥等)、怪我の程度、事故後の対応(救急搬送、家族への連絡等)、再発防止策があります。
予防策: 介護トラブルを減らすために
予防策1: 虐待防止研修の徹底
研修内容には、虐待の定義、虐待防止法の内容、不適切ケアの事例、ストレスマネジメントが含まれます。
研修頻度は、新人研修として入社時に行い、定期研修として年1回以上実施します。
予防策2: 事故防止対策

転倒防止として、手すりの設置、滑り止めマットの敷設、見守りセンサーの導入、スタッフの巡回強化を行います。
誤嚥防止として、食事形態の見直しとして刻み食やミキサー食を提供します。食事介助の方法として、ゆっくり少量ずつ提供します。誤嚥リスクの高い利用者を把握しておくことも重要です。
予防策3: 家族とのコミュニケーション
定期的な報告として、月1回の利用状況報告書を送付します。体調変化時には速やかに連絡します。事故発生時には迅速に報告することが大切です。
家族会の開催として、年2回の家族会を実施します。施設の取り組みを説明し、家族の意見・要望を聞くことで、信頼関係を築きます。
予防策4: スタッフの労働環境改善
人手不足の解消として、適正な人員配置を行います。スタッフの採用強化や外国人介護人材の活用も検討します。
ストレスケアとして、スタッフの相談窓口を設置します。メンタルヘルス研修を実施し、適切な休憩時間を確保することで、スタッフの負担を軽減します。
予防策5: 第三者評価の受審
第三者評価とは、外部の専門機関がサービスの質を評価し、評価結果を公表する制度です。
効果として、サービスの質向上が図れます。家族の信頼獲得につながります。「第三者評価を受けている施設」として差別化できます。
介護業界の判例・事例
事例1: 虐待で指定取消

概要として、介護施設でスタッフが利用者を叩く虐待が発覚しました。家族が市町村に通報し、市町村が立入調査して虐待を確認しました。介護保険法違反として、指定取消処分が下されました。
教訓は、虐待防止研修を徹底し、早期発見・早期対応することです。
事例2: 転倒事故で損害賠償請求(300万円)
概要として、デイサービスで利用者が転倒し、大腿骨骨折しました。施設が事故報告をしませんでした。家族が「隠蔽された」として損害賠償請求を行いました。裁判所が「事故報告義務違反」を認め、300万円の賠償命令を出しました。
教訓は、事故は必ず報告し、誠実に対応することです。
事例3: 食中毒で業務停止
概要として、介護施設でノロウイルスによる食中毒が発生しました。施設が保健所への報告を怠りました。保健所が調査し、業務停止処分を1週間科しました。
教訓は、食中毒は速やかに保健所に報告することです。
次のステップ
介護施設・デイサービスの口コミ対応をさらに詳しく知りたい方は、以下の記事もご参照ください。
- 動物病院の口コミ対応|誤診・高額請求・ペット死亡クレーム返信テンプレ
- 「示談金払え」金銭要求・不当クレームへの対応|恐喝罪と正当クレームの境界線
- 削除依頼が却下された時の対処法|発信者情報開示請求と訴訟の流れ
免責
本記事は一般的な情報提供を目的としており、個別の法的助言ではありません。高齢者虐待防止法・介護保険法の解釈は、個別の状況により異なります。詳細は弁護士または行政書士にご相談ください。
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