悪質口コミの投稿者を特定する方法|発信者情報開示請求の流れと費用
この記事は誰のため?
この記事は、悪質な口コミの投稿者を特定して損害賠償請求を検討している店舗オーナー・店長に向けて書かれています。
削除依頼が認められず法的手続きを取るしかない状況に追い込まれている方や、発信者情報開示請求の流れと費用、期間について詳しく知りたい方に役立つ内容です。
この記事を読むことで、発信者情報開示請求の2段階の手順、必要な証拠、弁護士費用の目安、特定後の選択肢が分かります。
まず最初にやるべきこと(公開返信は慎重に)
発信者情報開示請求を検討する前に、以下の準備をしておきましょう。
本当に法的手続きが必要か確認する
発信者情報開示請求は、時間と費用がかかる手続きです。以下の点を確認してください:
- 削除依頼は出したか: Googleマップやプラットフォームへの削除依頼はすでに出しましたか?
- 営業への実害はあるか: 予約キャンセル、売上減少など、具体的な被害が発生していますか?
- 投稿者を特定する必要はあるか: 削除されれば十分な場合、特定は不要です
法的手続きを取る前に、Googleマップ口コミの削除依頼手順を確認することをおすすめします。
証拠を集める
発信者情報開示請求には、以下の証拠が必要です:
- 投稿のスクリーンショット: URL、投稿日時、全文が映るように保存
- 被害の証明: 営業への影響(予約キャンセル、売上減少)を示す資料
- 投稿が違法であることの証明: 名誉毀損、営業妨害に該当する理由
公開返信テンプレ(出す場合)
発信者情報開示請求を検討している場合でも、公開返信は慎重に行いましょう。
返信テンプレート(法的手続きを示唆するパターン)
ご指摘の内容について確認いたしましたが、事実と異なる内容が含まれております。
当店の名誉を著しく毀損する内容であり、弁護士と協議の上、適切な対応を検討しております。
詳細につきましては、法的手続きを含めて対処してまいります。
[店舗名] 店長
ポイント解説
- 「弁護士と協議」: 法的手続きを取る意思があることを示す
- 「適切な対応」: 具体的な手続き名は出さず、あくまで「検討」にとどめる
- 感情的な表現は避ける: 「訴えます」など強い言葉は使わない
削除依頼/法的手続きの判断基準
発信者情報開示請求が認められるためには、投稿が違法であることを証明する必要があります。
発信者情報開示請求が認められる可能性が高いケース
以下のケースは、名誉毀損や営業妨害に該当し、発信者情報開示請求が認められる可能性があります:
- 名誉毀損: 「詐欺」「ぼったくり」「食中毒を出した」など、社会的評価を低下させる虚偽の事実
- 信用毀損: 「不衛生」「違法行為をしている」など、信用を傷つける虚偽の情報
- 業務妨害: 「潰れる」「行かない方がいい」など、営業を妨害する意図が明確
- プライバシー侵害: スタッフの実名、個人的な情報を暴露
発信者情報開示請求が認められにくいケース
- 主観的な評価: 「まずい」「高い」「態度が悪い」など、感想の範囲内
- 事実に基づく批判: 実際に起きた事実を述べている場合
- 公益目的: 消費者保護の観点から、事実を述べている場合
総務省のプロバイダ責任制限法ガイドラインや、法務省のインターネット人権相談窓口も参考になります。
具体的な手順(ステップバイステップ)
プロバイダ責任制限法の概要
発信者情報開示請求は、プロバイダ責任制限法に基づく手続きです。以下の2段階で進めます:
第1段階: プラットフォームへの開示請求 → Google、食べログなどに、投稿者のIPアドレス、タイムスタンプの開示を請求
第2段階: プロバイダへの開示請求 → IPアドレスから、投稿者の契約者情報(氏名、住所、メールアドレス)の開示を請求
ステップ1: 弁護士に相談
発信者情報開示請求は専門的な手続きのため、弁護士に依頼するのが一般的です。
弁護士への相談で準備すべき資料
- 投稿のスクリーンショット: URL、投稿日時、全文が映るように保存
- 被害の証明: 予約キャンセルの記録、売上推移、顧客からの問い合わせ内容
- 削除依頼の記録: プラットフォームへの削除依頼を出したか、その結果
- 投稿者の他の行動: 同じ投稿者が他の店舗にも同様のレビューを投稿している場合、そのスクリーンショット
弁護士費用の目安
- 着手金: 30万円〜50万円程度
- 成功報酬: 10万円〜30万円程度(投稿者が特定できた場合)
- 実費: 裁判所への印紙代、郵送費など数万円
ステップ2: プラットフォームへの開示請求(第1段階)
2-1. 任意の開示請求
まずは弁護士名義で、プラットフォーム(Google、食べログなど)に任意の開示請求を行います。
開示請求する情報
- 投稿時のIPアドレス
- 投稿日時(タイムスタンプ)
- 使用端末の情報(任意)
期間: 1週間〜1ヶ月程度
結果: 多くの場合、任意の開示請求では応じてもらえません。
2-2. 仮処分の申立て(開示されなかった場合)
任意の開示請求で応じてもらえなかった場合、裁判所に「発信者情報開示仮処分」を申し立てます。
手続きの流れ
- 弁護士が裁判所に仮処分を申立て
- 裁判所がプラットフォームに開示命令を出す
- プラットフォームがIPアドレスを開示
期間: 2ヶ月〜4ヶ月程度
費用: 弁護士費用(着手金30万円〜50万円)、裁判所の印紙代(数万円)
ステップ3: プロバイダへの開示請求(第2段階)
IPアドレスが開示されたら、次はプロバイダ(NTT、KDDIなど)に契約者情報の開示を請求します。
3-1. 任意の開示請求
弁護士名義で、プロバイダに任意の開示請求を行います。
開示請求する情報
- 契約者の氏名
- 契約者の住所
- 契約者のメールアドレス
期間: 1週間〜1ヶ月程度
結果: 多くの場合、任意の開示請求では応じてもらえません。
3-2. 訴訟の提起(開示されなかった場合)
任意の開示請求で応じてもらえなかった場合、裁判所に「発信者情報開示請求訴訟」を提起します。
手続きの流れ
- 弁護士が裁判所に訴訟を提起
- 裁判所が審理(1〜2回の口頭弁論)
- 裁判所がプロバイダに開示命令を出す
- プロバイダが契約者情報を開示
期間: 4ヶ月〜8ヶ月程度
費用: 弁護士費用(着手金20万円〜30万円追加)、裁判所の印紙代(数万円)
ステップ4: 投稿者が特定できた後の選択肢
投稿者が特定できたら、以下の選択肢を検討します。
4-1. 示談交渉
弁護士を通じて、投稿者に示談を持ちかけます。
示談の内容
- 投稿の削除
- 謝罪文の提出
- 損害賠償金の支払い(10万円〜50万円程度)
期間: 1ヶ月〜3ヶ月程度
4-2. 損害賠償請求訴訟
示談交渉が成立しなかった場合、損害賠償請求訴訟を提起します。
損害賠償額の目安
- 慰謝料: 10万円〜100万円程度
- 営業損害: 売上減少額、予約キャンセル損失など
- 弁護士費用: 損害額の10%程度
期間: 6ヶ月〜1年程度
4-3. 刑事告訴
名誉毀損罪(刑法230条)、信用毀損罪(刑法233条)などで刑事告訴します。
手続きの流れ
- 警察に被害届・告訴状を提出
- 警察が捜査(任意)
- 検察が起訴・不起訴を判断
期間: 6ヶ月〜1年以上
注意点: 警察が受理しない場合もあります。営業妨害の具体的な被害が必要です。
営業妨害や業務妨害罪の成立要件については、営業妨害・業務妨害罪の解説記事をご覧ください。
裁判期間の目安
発信者情報開示請求から投稿者特定まで、以下の期間がかかります。
全体の流れと期間
【発信者特定までの期間】
ステップ1: 弁護士相談・証拠収集 → 1週間〜1ヶ月
ステップ2: プラットフォームへの開示請求 → 2ヶ月〜4ヶ月
ステップ3: プロバイダへの開示請求 → 4ヶ月〜8ヶ月
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合計: 6ヶ月〜1年以上
スピードアップのポイント
- 証拠をしっかり集める: 証拠が不十分だと、裁判が長引く
- 弁護士の経験: ネット誹謗中傷に詳しい弁護士に依頼すると、手続きがスムーズ
- プラットフォームの協力: Googleなど海外企業は時間がかかることがある
店舗としてやるべき記録
発信者情報開示請求を行う場合、証拠の保存が非常に重要です。
記録すべき項目
- 投稿のスクリーンショット: URL、投稿日時、全文が映るように保存(後で削除・編集される可能性があるため)
- 投稿者の情報: アカウント名、プロフィール画像、他のレビュー履歴
- 被害の証明: 予約キャンセルの記録、売上推移、顧客からの問い合わせ内容
- 削除依頼の記録: いつ、どのプラットフォームに削除依頼を出したか
- 対応記録: いつ、誰が、どう対応したか(公開返信、弁護士相談など)
証拠の保存方法
【証拠保存チェックリスト】
□ 投稿のスクリーンショット(URL、投稿日時、全文が映るように)
□ 投稿のURL(コピー&ペーストでテキスト保存)
□ 投稿者のプロフィールページのスクリーンショット
□ 投稿者の他のレビュー履歴(同じパターンで複数投稿している場合)
□ 予約キャンセルの記録(予約システムのログ、メール)
□ 売上推移のグラフ(投稿前後で比較)
□ 顧客からの問い合わせ内容(「口コミを見て不安」などの声)
□ 削除依頼の送信記録(送信日時、内容)
□ 弁護士相談のメモ(相談日時、内容、費用見積もり)
免責
重要な注意事項
本記事は一般的な情報提供を目的としており、法的助言ではありません。
- 発信者情報開示請求の可否は、個別の状況によります。必ず認められるわけではありません。
- 法的手続きを取る場合は、必ず弁護士などの専門家にご相談ください。
- 本記事の内容をそのまま実行した結果生じた損害について、当サイトは一切の責任を負いません。
- 弁護士費用、裁判費用は事案によって異なります。詳細は弁護士にご確認ください。
- 投稿者が特定できても、損害賠償が認められない場合もあります。
最終更新: 2025-01-13
次のステップ
✅ まずは削除依頼を試したい方は → Googleマップ口コミの削除依頼手順
⚠️ 営業妨害で刑事告訴を検討している方は → 営業妨害・業務妨害罪の成立要件
📊 全体のフローを確認したい方は → 口コミ対応完全ガイド
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