#営業妨害#業務妨害罪#信用毀損罪#刑事告訴#被害届

「営業妨害で訴える」前に知るべきこと|信用毀損罪・業務妨害罪の成立要件

✍️編集部

この記事は誰のため?

この記事は、悪質な口コミを書かれて「営業妨害で訴えたい」と考えている店舗オーナー・店長に向けて書かれています。

信用毀損罪・業務妨害罪が成立するかどうか自分では判断できないという方や、警察に被害届を出すべきか、弁護士に相談すべきか迷っている方も少なくありません。

この記事を読むことで、営業妨害の法的要件、成立する具体例、民事と刑事の違い、警察への相談方法が分かります。


まず最初にやるべきこと(公開返信は慎重に)

「営業妨害で訴える」と決める前に、以下の点を確認しましょう。

本当に刑事事件として立件できるか確認する

営業妨害で刑事告訴するには、以下の要件を満たす必要があります:

  • 虚偽の情報: 事実と異なる内容が書かれている
  • 営業妨害の意図: 営業を妨害する意図が明確
  • 実害: 予約キャンセル、売上減少など、具体的な被害が発生している

単に「態度が悪い」「まずい」といった主観的な感想では、営業妨害には該当しません。

民事(損害賠償)vs 刑事(刑事告訴)の違い

民事(損害賠償請求)

  • 目的: 金銭的な賠償を受ける
  • 手続き: 弁護士に依頼して民事訴訟を提起
  • 期間: 6ヶ月〜1年程度
  • 費用: 弁護士費用30万円〜100万円程度

刑事(刑事告訴)

  • 目的: 投稿者を刑事処罰する(罰金、懲役など)
  • 手続き: 警察に被害届・告訴状を提出
  • 期間: 6ヶ月〜1年以上(警察が受理しない場合もある)
  • 費用: 弁護士費用10万円〜30万円程度(告訴状作成)

多くの場合、民事で損害賠償を請求する方が現実的です。刑事告訴は警察が受理しないケースも多いためです。


公開返信テンプレ(出す場合)

営業妨害で法的手続きを検討している場合でも、公開返信は慎重に行いましょう。

返信テンプレート(法的手続きを示唆するパターン)

ご指摘の内容について確認いたしましたが、事実と異なる内容が含まれており、当店の営業に支障をきたしております。

弁護士と協議の上、適切な法的措置を検討しております。

詳細につきましては、法的手続きを通じて対処してまいります。

[店舗名] 店長

返信テンプレート(刑事告訴を示唆するパターン)

ご指摘の内容について確認いたしましたが、事実と異なる虚偽の情報が記載されており、当店の信用を著しく毀損しております。

本件につきましては、信用毀損罪・業務妨害罪に該当する可能性があり、警察および弁護士と協議の上、適切に対処してまいります。

[店舗名] 店長

ポイント解説

  • 「事実と異なる」: 客観的な事実のみを伝える
  • 「営業に支障」: 具体的な被害が発生していることを示す
  • 「弁護士と協議」: 法的手続きを取る意思があることを示す
  • 感情的な表現は避ける: 「許せない」「絶対に訴える」など強い言葉は使わない

削除依頼/法的手続きの判断基準

営業妨害で訴える前に、まずは削除依頼を試すことをおすすめします。

削除依頼を先に試すべき理由

  • コスト: 削除依頼は無料、法的手続きは数十万円〜100万円以上
  • 期間: 削除依頼は1週間〜2週間、法的手続きは6ヶ月〜1年以上
  • 成功率: 削除依頼が認められれば、法的手続きは不要

まずはGoogleマップ口コミの削除依頼手順を確認し、削除依頼を試してみましょう。

法的手続きを検討すべきケース

  • 削除依頼が認められなかった
  • 複数の悪質なレビューが投稿されている
  • 営業に深刻な影響が出ている(予約キャンセル、売上減少など)
  • 投稿者を特定して損害賠償請求をしたい

信用毀損罪(刑法233条)の成立要件

信用毀損罪は、虚偽の情報を流布して他人の信用を傷つける犯罪です。

法律の条文

刑法第233条(信用毀損及び業務妨害) 虚偽の風説を流布し、又は偽計を用いて、人の信用を毀損し、又はその業務を妨害した者は、3年以下の懲役又は50万円以下の罰金に処する。

成立要件

信用毀損罪が成立するには、以下の要件を満たす必要があります:

  1. 虚偽の風説の流布: 事実と異なる情報を不特定多数に広める
  2. 信用の毀損: 経済的な信用(支払い能力、商品・サービスの品質など)を傷つける
  3. 故意: 信用を傷つける意図がある

「虚偽の風説」とは

  • 虚偽: 事実と異なる内容
  • 風説: 噂、情報(確実な事実ではない)
  • 流布: 不特定多数に広める(口コミサイト、SNSなど)

成立する具体例

例1: 食中毒のデマ

「この店は先月、食中毒を出して保健所から営業停止処分を受けた」
→ 事実と異なる場合、信用毀損罪に該当する可能性がある

例2: 違法行為のデマ

「この店は無許可で営業している」「衛生管理が全くされていない」
→ 事実と異なる場合、信用毀損罪に該当する可能性がある

例3: 詐欺のデマ

「この店は詐欺まがいの商売をしている」「ぼったくりバー」
→ 事実と異なる場合、信用毀損罪に該当する可能性がある

成立しない具体例

例1: 主観的な評価

「この店はまずい」「高すぎる」「おすすめしない」
→ 主観的な感想であり、信用毀損罪には該当しない

例2: 事実に基づく批判

「待ち時間が1時間以上あった」「スタッフの対応が冷たかった」
→ 実際に起きた事実であれば、信用毀損罪には該当しない

偽計業務妨害罪(刑法233条)の成立要件

偽計業務妨害罪は、嘘や策略を使って他人の業務を妨害する犯罪です。

成立要件

偽計業務妨害罪が成立するには、以下の要件を満たす必要があります:

  1. 偽計: 人を欺く、または人の誤認・不知を利用する
  2. 業務の妨害: 営業活動、事業運営を妨害する
  3. 故意: 業務を妨害する意図がある

「偽計」とは

  • 人を欺く: 虚偽の情報を流す、嘘をつく
  • 人の誤認・不知を利用する: 事実と異なる情報を使って、人を誤解させる

成立する具体例

例1: 虚偽のレビューを大量投稿

競合他社が複数のアカウントから★1レビューを連続投稿
→ 偽計業務妨害罪に該当する可能性がある

例2: 来店していないのに悪評を投稿

「この店で食中毒になった」と嘘をついて投稿
→ 偽計業務妨害罪に該当する可能性がある

例3: 事実と異なる営業時間を投稿

「この店は閉店しました」と嘘の情報を投稿
→ 偽計業務妨害罪に該当する可能性がある

成立しない具体例

例1: 主観的な評価

「この店は態度が悪い」「二度と行かない」
→ 主観的な感想であり、偽計業務妨害罪には該当しない

例2: 事実に基づく批判

「予約時間より30分遅れてサービスが始まった」
→ 実際に起きた事実であれば、偽計業務妨害罪には該当しない

威力業務妨害罪(刑法234条)の成立要件

威力業務妨害罪は、暴力や脅迫など、威力を使って他人の業務を妨害する犯罪です。

法律の条文

刑法第234条(威力業務妨害) 威力を用いて人の業務を妨害した者も、前条(233条)の例による。

成立要件

威力業務妨害罪が成立するには、以下の要件を満たす必要があります:

  1. 威力: 暴力、脅迫、社会的・経済的圧力など
  2. 業務の妨害: 営業活動、事業運営を妨害する
  3. 故意: 業務を妨害する意図がある

「威力」とは

  • 暴力: 物理的な力(店舗への侵入、器物損壊など)
  • 脅迫: 「潰してやる」「火をつける」などの脅し
  • 社会的圧力: 大量の電話、メール、来店による嫌がらせ

成立する具体例

例1: 大量の嫌がらせ電話

投稿者が店舗に何十回も電話をかけて、業務を妨害
→ 威力業務妨害罪に該当する可能性がある

例2: 店舗への脅迫

「お前の店を潰してやる」「火をつけるぞ」と脅迫
→ 威力業務妨害罪に該当する可能性がある

例3: SNSでの炎上扇動

「この店に抗議しよう」と呼びかけて、大量のクレームを誘発
→ 威力業務妨害罪に該当する可能性がある

成立しない具体例

例1: 単なる悪い口コミ

「この店はまずい」「おすすめしない」
→ 威力には該当せず、威力業務妨害罪には該当しない

法務省の犯罪被害者支援窓口や、警察庁のサイバー犯罪対策も参考になります。


「虚偽の風説」「偽計」「威力」の違い

犯罪名 手段 具体例
信用毀損罪 虚偽の風説の流布 「食中毒を出した」と嘘を投稿
偽計業務妨害罪 偽計(人を欺く) 来店していないのに悪評を投稿
威力業務妨害罪 威力(暴力・脅迫) 大量の嫌がらせ電話、脅迫

ポイント解説

  • 信用毀損罪: 経済的な信用を傷つける(「支払い能力がない」「商品が粗悪」など)
  • 偽計業務妨害罪: 嘘や策略を使って業務を妨害する(「虚偽のレビュー」「来店していないのに投稿」など)
  • 威力業務妨害罪: 暴力や脅迫を使って業務を妨害する(「大量の嫌がらせ電話」「脅迫」など)

実際の事案では、これらの犯罪は重なり合うこともあります。弁護士に相談して、どの罪名で告訴するかを決めましょう。


民事(損害賠償)vs 刑事(刑事告訴)の違い

営業妨害への対応には、民事と刑事の2つの方法があります。

民事(損害賠償請求)

目的: 金銭的な賠償を受ける

手続きの流れ

  1. 弁護士に相談
  2. 発信者情報開示請求で投稿者を特定
  3. 示談交渉または民事訴訟を提起
  4. 損害賠償金を受け取る

期間: 6ヶ月〜1年程度

費用: 弁護士費用30万円〜100万円程度

メリット

  • 損害賠償金を受け取れる
  • 刑事告訴より成功率が高い

デメリット

  • 費用と時間がかかる
  • 投稿者が無資力の場合、賠償金を回収できない

刑事(刑事告訴)

目的: 投稿者を刑事処罰する(罰金、懲役など)

手続きの流れ

  1. 警察に被害届・告訴状を提出
  2. 警察が捜査(任意)
  3. 検察が起訴・不起訴を判断
  4. 裁判所が判決(有罪・無罪)

期間: 6ヶ月〜1年以上(警察が受理しない場合もある)

費用: 弁護士費用10万円〜30万円程度(告訴状作成)

メリット

  • 投稿者を刑事処罰できる
  • 警察が捜査してくれる(弁護士費用が安い)

デメリット

  • 警察が受理しない場合が多い
  • 起訴されないケースもある
  • 損害賠償金は受け取れない(刑事罰のみ)

どちらを選ぶべきか

民事を選ぶべきケース

  • 金銭的な賠償を受けたい
  • 営業への実害が大きい(予約キャンセル、売上減少など)
  • 確実に対応したい(刑事は警察が受理しない可能性がある)

刑事を選ぶべきケース

  • 投稿者を刑事処罰したい
  • 暴力・脅迫があった(威力業務妨害罪)
  • 弁護士費用を抑えたい(警察が捜査してくれる)

多くの場合、民事で損害賠償を請求する方が現実的です。


警察への被害届・告訴状の書き方

刑事告訴をする場合、警察に被害届または告訴状を提出します。

被害届と告訴状の違い

被害届

  • 犯罪被害を警察に報告する書類
  • 警察が捜査するかどうかは任意

告訴状

  • 犯人の処罰を求める書類
  • 警察は受理後、捜査義務がある(ただし、不受理とされることもある)

告訴状に記載する内容

  1. 告訴人の情報: 氏名、住所、電話番号、職業
  2. 被告訴人の情報: 特定できている場合は氏名・住所、不明の場合は「不詳」
  3. 告訴事実: いつ、どこで、どのような犯罪が行われたか
  4. 被害の内容: 予約キャンセル、売上減少など、具体的な被害
  5. 証拠: 投稿のスクリーンショット、売上推移、予約記録など
  6. 告訴の趣旨: 刑事処罰を求める意思

告訴状の例

告訴状

令和○年○月○日

○○警察署長 殿

告訴人
住所: 東京都○○区○○ ○-○-○
氏名: ○○ ○○
職業: 飲食店経営

被告訴人
氏名: 不詳(Googleアカウント名「○○○○」)

告訴事実
令和○年○月○日頃、被告訴人は、Googleマップの当店レビュー欄に、「この店は食中毒を出したことがある」との虚偽の情報を投稿し、当店の信用を毀損しました。

当店は過去に食中毒を出したことは一切なく、保健所からの営業停止処分も受けたことがありません。

この投稿により、予約キャンセルが○件発生し、売上が前月比○○万円減少するなど、当店の営業に重大な支障が生じています。

よって、被告訴人を信用毀損罪(刑法233条)で告訴いたします。

証拠
1. 投稿のスクリーンショット
2. 予約キャンセルの記録
3. 売上推移のグラフ

以上

警察が受理しないケース

  • 営業への実害が不明確
  • 投稿内容が主観的な感想の範囲内
  • 証拠が不十分

警察が受理しない場合は、弁護士に相談して民事で対応することをおすすめします。


弁護士費用と裁判期間

民事(損害賠償請求)の費用と期間

弁護士費用

  • 着手金: 30万円〜50万円
  • 成功報酬: 損害賠償額の10〜20%
  • 実費: 裁判所の印紙代、郵送費など数万円

裁判期間

  • 発信者特定: 6ヶ月〜1年
  • 損害賠償訴訟: 6ヶ月〜1年
  • 合計: 1年〜2年程度

刑事(刑事告訴)の費用と期間

弁護士費用

  • 告訴状作成: 10万円〜30万円
  • 刑事裁判のサポート: 30万円〜50万円(任意)

期間

  • 警察の捜査: 6ヶ月〜1年
  • 検察の起訴判断: 1ヶ月〜3ヶ月
  • 刑事裁判: 6ヶ月〜1年
  • 合計: 1年〜2年以上

店舗としてやるべき記録

営業妨害で法的手続きを取る場合、証拠の保存が非常に重要です。

記録すべき項目

  • 投稿のスクリーンショット: URL、投稿日時、全文が映るように保存
  • 投稿者の情報: アカウント名、プロフィール画像、他のレビュー履歴
  • 被害の証明: 予約キャンセルの記録、売上推移、顧客からの問い合わせ内容
  • 対応記録: いつ、誰が、どう対応したか(公開返信、削除依頼、弁護士相談など)

証拠の保存方法

【証拠保存チェックリスト】
□ 投稿のスクリーンショット(URL、投稿日時、全文が映るように)
□ 投稿のURL(コピー&ペーストでテキスト保存)
□ 投稿者のプロフィールページのスクリーンショット
□ 予約キャンセルの記録(予約システムのログ、メール)
□ 売上推移のグラフ(投稿前後で比較)
□ 顧客からの問い合わせ内容(「口コミを見て不安」などの声)
□ 削除依頼の送信記録(送信日時、内容)
□ 弁護士相談のメモ(相談日時、内容、費用見積もり)

免責

重要な注意事項

本記事は一般的な情報提供を目的としており、法的助言ではありません。

  • 信用毀損罪・業務妨害罪が成立するかどうかは、個別の状況によります。
  • 法的手続きを取る場合は、必ず弁護士などの専門家にご相談ください。
  • 本記事の内容をそのまま実行した結果生じた損害について、当サイトは一切の責任を負いません。
  • 弁護士費用、裁判費用は事案によって異なります。詳細は弁護士にご確認ください。
  • 警察が被害届・告訴状を受理しない場合もあります。

最終更新: 2025-01-13


次のステップ

まずは削除依頼を試したい方はGoogleマップ口コミの削除依頼手順

⚠️ 投稿者を特定して損害賠償請求をしたい方は発信者情報開示請求の流れと費用

📊 全体のフローを確認したい方は口コミ対応完全ガイド

⚖️

事実と異なる口コミ・攻撃的なレビューで困っていませんか?

名誉毀損や営業妨害に該当する可能性のある口コミは、法的手続きを含めた専門的な対応が必要です。風評対策の専門家が無料で相談に乗ります。

  • 削除可否の判断を法律の専門家が無料で診断
  • プラットフォームへの削除依頼を代行
  • 投稿者の特定・法的措置まで一貫サポート
  • ネガティブ情報の検索順位を下げるSEO対策

初回相談は無料。まずは今の状況を専門家に相談してみてください。

風評対策の無料相談に申し込む →

※ 弁護士監修・対応実績5,000件以上

※ 当サイトはアフィリエイト広告を掲載しています