#不動産#賃貸#敷金返還#宅建業法#おとり物件

不動産・賃貸物件の口コミ対応|設備不良・騒音・敷金トラブル返信テンプレ

✍️編集部

この記事は誰のため?

この記事は、不動産会社・賃貸管理会社の経営者で、Googleマップや口コミサイトで「おとり物件を紹介された」「敷金を返してくれない」「騒音がひどい」と書かれてしまった方に向けて書かれています。

不動産業界の口コミは、トラブルが高額化しやすく、宅建業法・消費者契約法などの法律違反を疑われるケースが多くあります。適切に対応しないと、行政処分のリスクもあります。

この記事を読むことで、不動産特有のクレームへの返信テンプレート、法令遵守の方法、トラブル予防策が分かります。


不動産・賃貸業界特有の口コミトラブル

業界別対応ガイド

トラブル1: おとり物件・虚偽広告

不動産業界で最も悪質とされるトラブルが、おとり物件です。「ネットで見た物件が『既に契約済み』と言われた」「広告と実際の物件が違う(写真詐欺)」「『礼金なし』と書いてあったのに、実際は礼金1ヶ月」といったクレームが後を絶ちません。

これらは宅建業法47条違反(誇大広告の禁止)、景品表示法違反(有利誤認・優良誤認)、消費者契約法違反(不実告知)という重大な法的リスクを伴います。行政処分や刑事罰の対象となる可能性があります。

トラブル2: 設備不良・修繕対応の遅れ

「エアコンが壊れているのに、1ヶ月放置された」「水漏れを報告したのに対応してくれない」「入居前の清掃が不十分(ゴミが残っている)」といった設備や修繕に関するクレームも深刻です。

これらは賃貸借契約の債務不履行や、民法606条(修繕義務)違反に該当する可能性があります。設備不良を放置すると、契約解除や損害賠償請求につながります。

トラブル3: 騒音・近隣トラブル

賃貸物件では「上の階の足音がうるさい」「隣の部屋の住民がうるさいのに、管理会社が何もしてくれない」「ゴミ出しルールを守らない住民がいる」といった近隣トラブルが頻発します。

管理会社には、近隣トラブルの仲裁義務があります。これを放置すると、契約解除や損害賠償請求のリスクがあります。適切な対応が求められます。

トラブル4: 敷金・原状回復費用の高額請求

退去時の「敷金が全額返ってこない」「クリーニング代として10万円請求された」「壁紙の張替え費用として20万円請求された」というトラブルは非常に多く発生します。

これらは国土交通省「原状回復ガイドライン」違反や、消費者契約法10条違反(消費者の利益を一方的に害する条項)として問題となります。敷金トラブルは訴訟に発展しやすく、慎重な対応が必要です。

トラブル5: 仲介手数料・初期費用の高額請求

「仲介手数料が家賃の1.1ヶ月分(消費税込)を超えている」「鍵交換費用が5万円と高額」「24時間サポート費用が必須と言われた」といった初期費用に関するクレームもあります。

これらは宅建業法46条違反(報酬の制限)や、消費者契約法違反(不当な条項)として、法的問題に発展する可能性があります。


公開返信テンプレート(不動産・賃貸用)

💡 ヒント: 軽度のクレームへの対応は軽度クレーム対応一覧をご覧ください。業種別対応の他の事例は業種別対応一覧で確認できます。騒音クレームは騒音クレーム対応、金銭要求への対応は示談金・慰謝料請求対応もご参照ください。

業界別対応ガイド

テンプレート1: おとり物件疑惑

この度はお問い合わせいただき、誠にありがとうございました。

ご覧いただいた物件につきまして、お問い合わせ時点で既に申込が入っており、ご案内できず申し訳ございませんでした。

当社では、最新の空室情報を随時更新しておりますが、申込のタイミングにより、ご案内できない場合がございます。

今後、より迅速な情報更新を徹底してまいります。

[会社名] 担当: 〇〇

このテンプレートでは、「既に申込が入っていた」という事実を明記します。「おとり物件」という言葉は使わず、情報更新の遅れを認めて改善を約束することで、誠実な姿勢を示します。

テンプレート2: 設備不良・修繕対応の遅れ

この度は設備の不具合につきまして、対応が遅れ大変申し訳ございませんでした。

ご指摘いただいたエアコンの修理は、〇月〇日に完了しております。

今後、修繕依頼を受けた際は、迅速に対応するよう社内体制を改善いたしました。

ご不便をおかけしましたこと、重ねてお詫び申し上げます。

[会社名] 担当: 〇〇

謝罪を明確にし、対応完了の事実を示します。改善策を具体的に述べることで、同じトラブルを繰り返さない姿勢を示します。

テンプレート3: 騒音・近隣トラブル

この度は騒音につきまして、ご不快な思いをさせてしまい申し訳ございません。

該当の住戸に対しまして、管理規約に基づき注意喚起の文書を投函いたしました。

引き続き、快適にお住まいいただけるよう、巡回・注意喚起を徹底してまいります。

[会社名] 担当: 〇〇

対応したことを明記し、「何もしていない」と思われないようにします。ただし、プライバシーに配慮し、「〇号室の住民」など特定できる情報は書きません。

テンプレート4: 敷金返還トラブル

この度は敷金の返還につきまして、ご不明な点があり申し訳ございません。

原状回復費用の内訳につきまして、国土交通省のガイドラインに基づき算定しております。

詳細をご説明させていただきたく、お手数ですが店舗までご連絡いただけますでしょうか。

[会社名] 担当: 〇〇

国土交通省ガイドラインを明記することで、法的根拠を示します。金額の詳細は公開の場で議論せず、非公開での連絡を促します。

テンプレート5: 仲介手数料の高額請求

この度はお問い合わせいただき、ありがとうございました。

仲介手数料につきまして、宅建業法に基づき、家賃の1.1ヶ月分(消費税込)以内で設定しております。

内訳の詳細につきまして、ご説明させていただきたく、お手数ですが店舗までご連絡いただけますでしょうか。

[会社名] 担当: 〇〇

法的根拠(宅建業法)を明記し、金額が適正であることを示します。詳細は非公開で説明する姿勢を示します。


絶対に書いてはいけないNG返信表現

業界別対応ガイド

不動産業界の返信には、炎上リスクの高いNG表現があります。これらを使うと、さらなる批判を招きます。

NG例1: おとり物件を認める

「その物件は、客寄せ用の物件です」という表現は、宅建業法違反を自白することになります。これにより行政処分(業務停止・免許取消)のリスクが高まります。

正しくは「お問い合わせ時点で既に申込が入っており、ご案内できませんでした」と、タイミングの問題として説明します。

NG例2: 入居者のプライバシーを晒す

「〇号室の住民が騒音の原因です」という表現は、プライバシー侵害にあたります。逆に〇号室の住民から訴えられるリスクもあります。

正しくは「該当の住戸に対し、注意喚起いたしました」と、特定できない形で対応を説明します。

NG例3: 敷金返還を拒否する

「契約書に『敷金は返さない』と書いてあります」という表現は、消費者契約法10条違反(消費者の利益を一方的に害する条項は無効)にあたります。「悪徳業者」として炎上するリスクがあります。

正しくは「原状回復ガイドラインに基づき、適正に算定しております」と、適法性を示します。

NG例4: 顧客を批判する

「そもそも、お客様が部屋を汚したのが悪いです」という表現は、顧客批判として炎上のもとです。他の閲覧者にも悪印象を与えます。

正しくは「詳細をご説明させていただきたく、店舗までご連絡ください」と、冷静に対応を促します。


不動産業界の法令遵守ガイド

業界別対応ガイド

宅建業法で禁止されている行為

禁止行為 条文 罰則
誇大広告 47条 6ヶ月以下の懲役または100万円以下の罰金
おとり物件 47条 同上
重要事項の不告知 35条 業務停止処分
報酬の上限超過 46条 業務停止処分

国土交通省「原状回復ガイドライン」

原状回復ガイドラインの基本原則は明確です。通常の使用による損耗(経年劣化)は貸主負担、借主の故意・過失による損耗は借主負担となります。

貸主負担の例としては、畳の日焼け、壁紙の自然な汚れ・黄ばみ、フローリングの色落ち(日焼け)、冷蔵庫の後ろの壁の黒ずみ(電気ヤケ)があります。

借主負担の例としては、タバコのヤニ・臭い、ペットによる傷・臭い、故意に壊した設備、清掃を怠ったことによるカビ・シミがあります。

計算方法は減価償却を考慮します。例えば、壁紙の耐用年数は6年です。3年住んだ場合、残存価値は50%となり、全額請求は違法となります。


予防策: 不動産トラブルを減らすために

業界別対応ガイド

予防策1: 物件情報の即時更新

おとり物件を疑われないために、空室情報を即座に更新することが重要です。申込が入った時点で「申込中」に変更し、契約完了後は速やかに削除します。

不動産ポータルサイトの自動更新機能や、社内の空室管理システムを活用することで、情報の鮮度を保つことができます。

予防策2: 重要事項の事前説明

契約前に、物件の設備状況(エアコン、給湯器等の築年数)、騒音リスク(上下階・隣室の状況)、修繕履歴(過去の水漏れ、設備故障等)、周辺環境(ゴミ置き場、駐輪場等)、退去時の原状回復費用の目安を必ず説明します。

これらの内容は重要事項説明書に明記し、顧客の署名・捺印をもらうことで、後のトラブルを防ぎます。

予防策3: 修繕対応のスピードアップ

修繕依頼を受けた場合の対応フローを明確にします。依頼受付後24時間以内に現地確認を行い、修繕業者を手配します(緊急性に応じて即日〜3日以内)。修繕完了後は、速やかに報告します。

緊急修繕の基準として、水漏れは即日対応、エアコン故障(真夏・真冬)は即日〜翌日対応、その他設備故障は3日以内と定めます。

予防策4: 原状回復費用の透明化

退去時のトラブルを防ぐため、原状回復費用を事前に説明します。入居時に「国土交通省ガイドライン」に基づくこと、通常損耗は請求しないこと、借主負担となるケース(タバコ、ペット等)を明確に伝えます。

退去立会いでは、借主立会いのもと部屋の状況を確認し、写真撮影(証拠として保管)を行い、原状回復費用の見積りを提示します。退去後1ヶ月以内に精算書を送付し、敷金返還額と原状回復費用の内訳を詳細に記載します。

予防策5: 仲介手数料の適正化

宅建業法46条を遵守し、仲介手数料は家賃の1.1ヶ月分(消費税込)を上限とします。依頼者の承諾なく上限を超えることは違法です。

その他の初期費用も透明化します。鍵交換費用は実費相当(1.5万円〜3万円程度)、24時間サポート費用は任意加入であることを明記、火災保険は複数プランを提示して選択肢を与えることが重要です。


不動産業界の判例・事例

事例1: おとり物件で業務停止処分

不動産会社が既に契約済みの物件をネットで掲載し続けたケースでは、国土交通省が宅建業法違反(誇大広告)として業務停止3ヶ月の処分を下しました。この教訓から、空室情報は即座に更新する必要があります。

事例2: 敷金返還トラブルで訴訟(全額返還命令)

不動産会社が通常損耗(壁紙の黄ばみ等)を理由に敷金を全額差し引いたケースでは、借主が提訴しました。裁判所は「通常損耗は貸主負担」として、敷金20万円の全額返還と遅延損害金の支払いを命じました。この教訓から、原状回復ガイドラインを遵守することの重要性が分かります。

事例3: 騒音クレーム放置で損害賠償請求(50万円)

管理会社が騒音クレームを半年間放置したケースでは、借主が「安眠妨害」として損害賠償請求を行いました。裁判所は「管理義務違反」として、慰謝料50万円の支払いを命じました。この教訓から、騒音クレームは放置せず速やかに対応することの重要性が明らかです。


次のステップ

不動産・賃貸物件の口コミ対応をさらに詳しく知りたい方は、以下の記事もご参照ください。


免責

本記事は一般的な情報提供を目的としており、個別の法的助言ではありません。宅建業法・消費者契約法の解釈は、個別の状況により異なります。詳細は弁護士または宅地建物取引士にご相談ください。

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