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「食中毒になった」口コミへの緊急対応マニュアル|飲食店の衛生クレーム返信と保健所対応

✍️編集部

この記事は誰のため?

この記事は、Googleマップや食べログで「食中毒になった」「腹痛が出た」「嘔吐した」と書かれてしまった飲食店オーナー・店長に向けて書かれています。

食中毒疑惑の口コミは、通常のクレームとは対応レベルが異なります。誤った返信をすると、法的責任を認めたことになったり、保健所の立入調査が入ったり、営業停止になる可能性もあります。

この記事を読むことで、食中毒疑惑が書かれた際の24時間以内の初動対応、保健所への報告手順、公開返信での法的リスク回避方法が分かります。


食中毒疑惑の口コミが来たら最初にすべきこと

「食中毒になった」という口コミが来た場合、通常のクレーム対応とは全く異なる対応が必要です。以下の手順を24時間以内に実施してください。

ステップ1: 証拠を保全する(最優先)

口コミを見たら、すぐに以下の記録を確保します。

保全すべき証拠 保管方法 保管期間
口コミのスクリーンショット PDFまたは画像で保存 最低6ヶ月
来店日の食材管理表 原本+コピー 最低1年
来店日の温度管理記録 冷蔵庫・冷凍庫の温度ログ 最低1年
来店日の調理担当者 シフト表で記録 最低1年
同日来店客の連絡先 予約システムから抽出 最低6ヶ月
防犯カメラ映像 DVDまたはクラウドに保存 最低1ヶ月

ステップ2: 事実確認を行う

保健所や弁護士に相談する前に、以下を確認します。

確認項目:

  1. 本当に来店しているか: 予約システム、POSデータ、防犯カメラで確認
  2. 何を食べたか: オーダー伝票で特定
  3. 調理に問題はなかったか: 賞味期限、加熱温度、保存状態を確認
  4. 同じ料理を食べた他の客に症状は出ていないか: 同日来店客に確認(可能であれば)
  5. 投稿者は本当に体調不良になったか: 口コミの内容から判断(具体的な症状の記載があるか)

ステップ3: 保健所に連絡すべきか判断する

以下の場合は、自主的に保健所に連絡することを推奨します。

保健所に連絡すべきケース:

  • 複数のお客様から「体調不良」の連絡があった
  • 口コミに「病院に行った」「診断書をもらった」と書かれている
  • 投稿者から直接連絡があり、本当に体調不良が確認できた
  • 同じ日に提供した料理で、明らかな調理ミス(加熱不足など)があった

保健所に連絡しなくてもよいケース:

  • 口コミだけで、直接の連絡がない
  • 来店記録が確認できない(嘘の可能性が高い)
  • 同じ料理を食べた他の客に症状が出ていない
  • 症状の記載が曖昧で、食中毒の症状と一致しない

ステップ4: 弁護士に相談する

食中毒疑惑は法的リスクが高いため、返信する前に弁護士に相談することを強く推奨します。

弁護士相談が必須のケース:

  • 「訴える」「慰謝料を請求する」と書かれている
  • 口コミに「保健所に通報した」と書かれている
  • 投稿者から直接「損害賠償請求」の連絡があった
  • 事実と明らかに異なる内容が書かれている(営業妨害の可能性)

公開返信テンプレ(食中毒疑惑用)

💡 ヒント: 軽度のクレームへの対応は軽度クレーム対応一覧をご覧ください。飲食店向けの対応は飲食店の口コミ対応、名誉毀損対応は名誉毀損対応マニュアル、削除申請はGoogle口コミ削除依頼もご参照ください。

食中毒疑惑の公開返信は、絶対に法的責任を認めないことが重要です。以下のテンプレートは、弁護士監修の一般的な返信例です。

返信テンプレート(基本パターン)

この度はご来店いただき、ありがとうございました。

体調不良を訴えられているとのこと、大変心配しております。
当店では食品衛生法に基づき、毎日の食材管理・温度管理を徹底しておりますが、もしご体調に不安がございましたら、保健所または当店まで直接ご連絡いただけますでしょうか。

お客様の健康と安全を第一に考え、誠意をもって対応させていただきます。

[店舗名] 店長

返信テンプレート(来店記録が確認できない場合)

この度はご連絡いただき、ありがとうございます。

お客様の体調についてご心配しておりますが、当店の予約記録およびオーダーシステムを確認したところ、該当する日時のご来店記録を確認することができませんでした。

もしご来店日時や予約名義に誤りがある場合は、お手数ですが当店まで直接ご連絡いただけますでしょうか。

事実関係を確認の上、誠意をもって対応させていただきます。

[店舗名] 店長

返信テンプレート(他の客に症状が出ていない場合)

この度はご来店いただき、ありがとうございました。

体調不良のご連絡をいただき、心配しております。
当店では食品衛生法に基づいた厳格な管理を行っており、同日にご来店された他のお客様からは体調不良のご報告はいただいておりません。

念のため、保健所への確認も行いましたが、当店に関する食中毒の報告は受けておりません。

もし医療機関を受診された場合は、診断書をお持ちの上、当店まで直接ご連絡いただけますでしょうか。

[店舗名] 店長

絶対に書いてはいけないNG返信表現

食中毒疑惑の返信では、以下の表現は絶対に使わないでください。法的責任を認めたことになります。

NG例1: 謝罪してしまう

「食中毒を引き起こしてしまい、誠に申し訳ございません」

リスク: 「食中毒を引き起こした」と認めたことになり、損害賠償請求の証拠に使われます。保健所の調査でも不利になります。

NG例2: 原因を推測する

「おそらく加熱が不十分だったのだと思います」

リスク: 調理ミスを認めたことになり、過失を認めたと判断されます。推測で書いた内容が、裁判で不利な証拠として使われる可能性があります。

NG例3: 補償を約束する

「治療費をお支払いいたします」

リスク: 法的責任を認めたことになり、因果関係が証明されていない段階で補償を約束すると、後から撤回できません。

NG例4: 他のお客様の情報を出す

「他のお客様は全員問題ありませんでした」

リスク: プライバシー侵害になる可能性があります。また、「他の客は大丈夫だったから、あなたの体質の問題」と読まれ、炎上リスクがあります。

NG例5: 感情的に反論する

「当店の料理で食中毒になるはずがありません。嘘の口コミを書くのはやめてください」

リスク: 名誉毀損で逆に訴えられる可能性があります。事実でない場合でも、公開の場で「嘘」と断定すると、法的リスクが高まります。


保健所対応の流れ

食中毒疑惑が発生した場合、保健所から連絡が来る可能性があります。以下の対応フローを把握しておきましょう。

保健所から連絡が来た場合の対応

保健所から「食中毒の疑いがある」と連絡があった場合、以下の流れで対応します。

ステップ1: 保健所の指示に従う

保健所は、以下のような調査を行います。

  • 立入調査(厨房の衛生状態の確認)
  • 食材のサンプル採取
  • 調理担当者の検便
  • 食材管理表・温度管理記録の確認

重要: 保健所の調査を拒否すると、営業停止命令が出る可能性があります。必ず協力してください。

ステップ2: 弁護士に同席を依頼する

保健所の調査には、弁護士の同席を依頼することができます。特に以下の場合は、弁護士の立会いを推奨します。

  • 複数の食中毒疑惑がある
  • 口コミで「訴える」と書かれている
  • 保健所の質問内容が、営業停止を前提としているように感じる

ステップ3: 証拠を提出する

保健所には、以下の証拠を提出します。

  • 食材管理表
  • 温度管理記録
  • 調理マニュアル
  • 衛生管理マニュアル
  • 仕入れ先の記録

これらの記録が不十分だと、「衛生管理が不適切」と判断され、営業停止になる可能性があります。

保健所の調査結果が出た後の対応

保健所の調査結果は、以下のいずれかになります。

結果 意味 店舗の対応
食中毒と認定 店舗の料理が原因で食中毒が発生したと判断 営業停止、再発防止策の提出
食中毒の疑い 因果関係は不明だが、衛生上の問題あり 改善指導、再調査の可能性
食中毒ではない 店舗の料理が原因ではないと判断 口コミへの反論が可能

食中毒と認定された場合の対応

保健所から「食中毒」と認定された場合、以下の対応が必要です。

  1. 営業停止命令に従う: 営業停止期間は通常3日〜7日
  2. 原因究明と再発防止策の提出: 保健所に改善計画を提出
  3. 再検査に合格する: 保健所の再調査で合格しないと営業再開できない
  4. 公式発表を行う: ホームページやSNSで謝罪文を掲載
  5. 損害賠償に備える: 被害者からの損害賠償請求に対応(弁護士に依頼)

食中毒疑惑が事実でない場合の対応

口コミに「食中毒になった」と書かれていても、実際には来店していない、または嘘の可能性もあります。

嘘の口コミを見分けるポイント

以下の特徴がある場合、嘘の可能性が高いです。

チェック項目 嘘の可能性が高い兆候
来店記録 予約システムやPOSに記録がない
症状の具体性 「お腹が痛くなった」程度の曖昧な表現
時系列 食後すぐに症状が出た(食中毒は通常6時間〜2日後)
他の客の状況 同じ料理を食べた他の客に症状なし
医療機関受診 「病院に行った」と書いているが診断書の提示なし

嘘の口コミへの対応手順

嘘の口コミと判断できる証拠がある場合、以下の対応を取ります。

ステップ1: 証拠を集める

  • 予約システムの記録(該当日に予約なし)
  • POSデータ(該当日のオーダー記録なし)
  • 防犯カメラ映像(該当時間に来店者なし)
  • 保健所への確認(食中毒の報告なし)

ステップ2: プラットフォームに削除依頼

Googleマップや食べログに、以下の理由で削除依頼を出します。

削除依頼の理由:

このレビューは事実と異なります。投稿者は「〇月〇日に来店した」と記載していますが、当店の予約システムおよびPOSデータを確認したところ、該当日の来店記録はございません。また、保健所にも確認しましたが、当店に関する食中毒の報告は一切受けておりません。

虚偽の情報による営業妨害と判断されるため、削除をお願いいたします。

【証拠】
- 予約システムのログ(〇月〇日は予約なし)
- POSデータ(〇月〇日のオーダー記録なし)
- 保健所への確認書(食中毒報告なし)

ステップ3: 弁護士に相談し、法的措置を検討

削除依頼が承認されない場合、弁護士に相談して以下の法的措置を検討します。

  • 発信者情報開示請求: 投稿者の身元を特定
  • 名誉毀損・営業妨害での損害賠償請求: 虚偽の情報で営業を妨害されたとして損害賠償を請求

食中毒を予防するための日常管理

食中毒疑惑を未然に防ぐには、日常的な衛生管理が最も重要です。

必須の管理記録

以下の記録を毎日つけることで、食中毒疑惑が来ても証拠として使えます。

管理項目 記録内容 記録頻度
食材の賞味期限 仕入れ日、賞味期限、保管場所 毎日
冷蔵庫・冷凍庫の温度 朝・昼・夜の3回測定 1日3回
加熱温度 中心温度が75℃以上1分間 調理ごと
調理担当者の健康状態 下痢・嘔吐などの症状有無 毎日
手洗い・消毒の実施 チェックリスト形式で記録 調理前後

HACCPに基づく衛生管理

2021年6月から、全ての飲食店に「HACCPに基づく衛生管理」が義務化されています。

HACCP(ハサップ)とは: 食品の安全を確保するための国際的な衛生管理手法

最低限実施すべきこと:

  1. 衛生管理計画の作成
  2. 毎日の記録(温度管理、手洗いなど)
  3. 記録の保管(最低1年間)

詳しくは、厚生労働省の「HACCPの考え方を取り入れた衛生管理」のガイドラインを参照してください。


次のステップ

食中毒疑惑への対応をさらに詳しく知りたい方は、以下の記事もご参照ください。


免責

本記事は一般的な情報提供を目的としており、個別の法的助言ではありません。食中毒疑惑が発生した場合は、必ず弁護士および保健所にご相談ください。

また、保健所の対応や法的手続きは地域によって異なる場合があります。最新の情報は、管轄の保健所または弁護士にご確認ください。

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